第59章 狙撃
少しの間泣き続けるとだいぶ落ち着いたので
私は秀一くんから身体を離した。
『ごめんね、秀一くん。もう大丈夫だよ。』
「…そうか。俺としてはもう少し抱きしめていたかったがな。」
『!?何言ってんの!?ばか!!』
私の暴言を聞いて嬉しそうに笑った秀一くんは
ポンポンと頭を優しく叩いてきた。
「いつもの美緒に戻ったな。
そっちの方がお前らしい。」
『……うん。ありがとう。』
秀一くんはそのまま立ち上がって
自分の車に乗り込み走り去って行った。
昴さんに変装していない素顔のままだったから
彼が急いで来てくれたんだと分かり嬉しく思った。
『また秀一くんに借りが出来ちゃったなぁ…。』
彼の車を見送りながらぼやいていると、
パトカーのサイレンの音が聞こえてきたので
コナン君に目を向けるとニコッと笑っていた。
「佐藤刑事に連絡しておいたんだ。
松田刑事を撃った犯人を見つけたよってね。」
『……ずっと聞きたかったんだけどさ…
君は本当に何者なの?』
「…僕はただの小学生だよ。」
嘘つけ!
ただの小学生にしては賢過ぎるし気が利き過ぎるわ!
『まぁ、今はそういうことにしといてあげる。』
微妙な顔したコナンくんと道路に立っていると、
私達の元に美和子ちゃんと高木くん、
複数の警官が到着し、犯人の身柄を引き渡してから
私とコナン君は松田くんが運ばれた病院に向かった。
私の愛車は少し凹んでしまったけど、
走行するには問題なく無事に病院に到着した。