第59章 狙撃
『もしもし?何か分かったの?』
「ああ。数ヶ月前のアグバロスの事件の時、
FBIにスパイが侵入した話を覚えてるか?」
『私の両親のことを調べた奴だよね?』
「その男はアグバロスに金で雇われていただけで
ずっと行方をくらましていたんだが……
どうやら今は東京にいるらしい。」
『!!まさか……
また誰かに雇われて何かする気なの!?』
「恐らくな。
確証はないが、お前から聞いた事件とその男…
何か関係がある気がするんだ。」
秀一くんの言う通りだ。
なぜなら私の両親の墓の場所を知っている人なんて
ほんの限られた人間だけ……
職場の人にさえ教えていないのに…
そう考えると、以前私の両親を調べにFBIに侵入したその男が有力候補だろう。
「その男の特徴は赤髪で
腕利きのスナイパーだ。気をつけろ。」
『分かった。ありがとう。
また何かわかったら教えてね。』
秀一くんとの電話を切り、
少し離れたところにいる松田くんと萩原くんの方を向くと
心配そうに私を見つめていた。
彼らの元に歩き出そうとしたら
レーザーポインターのような赤い点がゆっくりと動いているのが視界に入った。
…それは松田くんの足元から
少しずつ彼の心臓付近に近づいていき私は2人の元へ駆け出した。
『2人共危ない!!狙われてる!』
「「!?」」
私が松田くんに飛びつこうとしたところで
どこからか発砲音が聞こえ、私達が地面に倒れ込むと、松田くんの血が飛び散った。
『!!松田くん…!』
萩「松田!!おい!しっかりしろ!」
松「…っ、大、丈夫だ……
肩…掠めただけだっての……」
狙撃の死角になるように3人で近くに止まっていた車の陰に隠れ、萩原くんに救急車を呼んでもらう中
近くを歩いていた通行人達は悲鳴を上げながら騒ぎ立てていた。