第58章 公安
『そろそろ話してくれないかな…?
一体何が起きてるの?』
「……お前には関係ない。」
…ひどく冷たい声で言われたけど
明らかに嘘だって分かるから全然悲しくなかった。
『どうして何も話してくれないの?
諸伏くんが極秘の任務に出てるってことも嘘なんでしょ?』
「……。」
『零くんから話してくれるまで待つつもりだったけど
風見さんまでこんな目に遭って……
もう黙っていられないよ。』
東社長や伊達くんだってひどい目に遭わされたのに
私はもう…ただ待つことなんて出来なくて我慢の限界だった。
「……美緒には…関係のないことだ。」
『もうその嘘いいから。早く話してよ!』
「話すことなんて何もない。」
『じゃあなんでこっち見て言わないの!?』
一度も私と目を合わせてくれない零くんは
ずっと手を握りしめていて必死に冷静さを保とうとしているのが分かる。
『お願いだから…1人で抱え込まないでよ!
公安の刑事さん達が襲われてる事件のことも知ってる!!
私は零くんの力になりたいの!』
「…っ、余計なお世話だ!
これは僕が解決しなきゃいけない事件なんだよ!
お前には関係ないって言ってるだろ!」
『私…公安の協力者でしょ!?』
「僕の言うことを信じないのなら……
お前には協力者をやめてもらう。」