第58章 公安
警察病院に到着し、私は裏口に回った。
もし零くんもここに来ているとしたら
警察の関係者だとバレないようにするはずだ。
堂々と正面入り口を利用するとは思えない。
案の定、私が裏口のドアから入ったところで
こちらに向かって歩いてくる零くんを見つけた。
「っ、美緒……なんで…」
私がここに来るとは思っていなかったのか
すごく驚いた表情をしていて、
私は周りに誰もいないことを確認してから口を開いた。
『……風見さんは?』
「…出血量が多くて…意識不明の重体だ。
いつ意識が戻るのか分からない…。」
『……っ、そっ…か……。』
零くんの手は強く握りしめられており
彼が着ているスーツや手には黒ずんだ血の跡が残っていた。
きっと……風見さんの血だ…。
『ねぇ、ちょっとだけ…話せない?』
「………わかった。」
迷いの表情が見られたが
零くんは私の横を通り過ぎて裏口から外へ出たので
私は彼の後を追いかけた。
ーーー…
駐車場を通り過ぎ
やって来たのは建物の裏の通路で建設中の建物があるフェンスに挟まれている。
全く日が当たらないその通路は昼間なのに少し肌寒かった。
「なんでここに来たんだ…。」
『コナン君が教えてくれたの。
風見さんが撃たれたところ見てたみたい。
それに……犯人追いかけてくれたけど逃げられたって言ってた。』
「そうか……
誰かに見られてる気がしてたけど
気のせいじゃなかったんだな。」
零くんは私の方に体を向けて話してくれてるけど…
まだ一度も目を合わせてくれない。