第58章 公安
長野の出張から数日が経ち
相変わらず私は仕事仕事の毎日。
零くんとも会えていない日がずっと続いていた。
長野のお土産を早く渡したいのに
ポアロにはいないし、一度だけ零くんの家に行ったが留守だった。
ひょっとしたら家には帰って来ていないのかもしれない…。
何か大きな事件が起きているんじゃないかと
風見さんや零くんにメールを送ってみたが
2人揃って何でもない、大丈夫だという返事しか来なかった。
…絶対嘘だよね。
零くんがポアロのバイトを長期休んでまで公安の仕事をしているなんて
今までに一度も無かったことだから、どう考えてもおかしい。
事務所のデスクに座り、うーん…と考えていると
私のスマホが鳴り、画面を見ると同僚の葉山からの電話だった。
『もしもし?どうしたの?』
葉「……若山…」
『え…なに……なんかあったの?』
声のトーンからして
いつもの葉山と様子が違うとすぐに分かった。
葉「社長が…襲われて……病院に運ばれた。」
『!?襲われたって……誰に!?』
葉「詳しいことはわかんねぇ…。
命に別状はないが、ひどい怪我だって聞いた。」
『どこの病院?私も梢さんとすぐに行く。』
葉山との電話を切り、梢さんに社長のことを説明した後
すぐに事務所を出てタクシーで病院に向かった。