第57章 出張
『……満足なわけあるか!!
もっとちゃんと謝りなさいよ!!』
梢「美緒ちゃん!本当にもういいから!!
ありがとう…私の為に怒ってくれて…。」
梢さんが必死に私を抑えようとするから
仕方なく気持ちを落ち着かせることにした。
そんな私の様子を見て、諸伏警部はクスクスと笑っていた。
『…何がおかしいんですか。』
諸「いえ?なんでもありません。
ただやはりあなたも犯人の見当がついていたんだなと思いまして。」
『…なんとなく、ですけどね。』
確証はなかったけど…
凶器がすぐに見つからない時点で
浴室の中にあるものを使ったんだなって推測できたし
そう考えると凶器は露天風呂に置いてあった石くらいしか思いつかなかったからね。
その後…
私と梢さんが警護していた女性は事件が解決したので
また機会があれば警護してね!と私に言い残し
護衛の男性2人を引き連れて先に帰って行った。
梢「私達もそろそろ東京に帰りましょうか。」
『その前にご飯食べません?お腹空きました!』
梢さんと2人で何を食べようか相談しながら温泉施設の出口に向かって歩いていると、諸伏警部が私に話があると言って呼び止めて来た。
梢「じゃあ私は先に外で待ってるからね!」
諸「申し訳ありません。手短に済ませますので…。」
梢さんが私たちの元から去ると諸伏警部は私の方へ視線を向けた。
「改めまして、私は諸伏 高明と申します。
あなたと友人である景光は私の弟です。」
『やっぱりそうだったんですね!
昔、長野にお兄さんがいるって聞いた事があったんです。』
今日この人に会うまで、ずーっと忘れていたけど…
警察学校時代に聞いていたのを思い出した。
「私も貴方の話は景光から聞いていました。
同期の中に面白い女性がいると。」
…いや、面白いって何よ。
「元SPで、とても賢く強い女性ですが
頑固なのが玉に瑕だと言っていましたよ?」
うーん。
諸伏くんには今度会った時、文句言ってあげないと。