第57章 出張

「…っ！」

『テストは合格、でいいですか？』

「…ちっ、…ああ。」


男に向けていた拳を離すと
その様子を見ていた女性が笑いながら拍手をしていた。


「あなたすごいのねー！
うちの護衛の男相手に結構やるじゃない！」

『あはは、恐縮です。』

梢「ちょっと！
いきなり殴りかかるなんてひどいじゃない！」

『大丈夫ですよ。こんな風に扱われるのは慣れてます。』


SPだった時はこんなこと日常茶飯事だったからね…。



「私からもお詫びします。
彼は結構神経質なところがあるので…
悪気はないんですよ。」


『本当に気にしないで下さい。
お互い怪我していませんし…
梢さんも、護衛の人睨むのやめましょう？』


せっかく温泉に来たのに
そんなピリピリしてたら楽しめなくなっちゃうよ…。


梢「まぁ、美緒ちゃんがそういうならいいけど…。」

「よし！じゃあさっそく温泉入りに行きましょう！」


クライアントの女性は護衛の男の人達に
ロビーで待っているよう声をかけて
梢さんの腕を引っ張り、脱衣所の方へ向かって行ったので私もその後に続いた。



脱衣所に入り服を脱いでいると視線を感じ、顔を向けると
梢さん達がじーっ、と私の体を見ていた。


『…あの、何か？』

「うーん…
綺麗に筋肉付いてるのに、あなた胸は結構あるのね。」

梢「やっぱりあなたもそう思った？
美緒ちゃんって本当にスタイルいいのよ。」


……同性とは言えそんなに凝視されると恥ずかしい！


『いや、でもほら…
わたし身体に傷痕たくさん残ってますし…
お二人の綺麗な肌が羨ましいですよ。』


梢「美緒ちゃんって本当にお世辞が上手なんだから！
照れるじゃないの〜！」

『ふふっ、本音ですよ？』


そのまま3人ではしゃぎながら衣服を脱ぎ、タオルを持って
脱衣所から浴室へ移動した。


女だけで来る温泉ってこんなに楽しいものだったんだな…。




ささっと体を洗った後
屋内の温泉に浸かりながら雑談をし、露天風呂も堪能した。



露天風呂の後は再び屋内に戻り
3人でサウナに入っていると梢さんは先に限界だと言ってお風呂を出て行った。


「私達もあと5分くらいしたら出ましょうか。」
『わかりました。』