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《降谷夢》bonheur {R15}

第56章 美容








……全身が痛い。



気がつくと同時に体に走る痛みと怠さ…。
骨抜きにされたような感覚だ。



私の隣に零くんはいなかったけど
シャワーの音が聞こえるから、きっとお風呂に入っているんだろう。


横になったままぼーっとしていると
零くんは上半身裸の下着だけ履いた状態で
髪をタオルで拭きながらわたしの元へ戻ってきた。


「起きてたのか。」
『うん。さっき起きた。』
「体、大丈夫…じゃないよな。」
『…ううん、大丈夫だよ。』


確かに今までに無いくらい激しくされたと思うけど…
零くんに愛されているって体で実感できたことの方が
何となく今日は嬉しかった。



「美緒……本当にお前を監禁してやりたい。」
『……怖いって。』
「それくらいお前が好きなんだよ。」
『でも監禁はだめ。絶対。』
「…ちっ。」


…舌打ち!?
まさか本気で監禁する気だったの…!?

疑いの目で零くんを見ていると
髪を拭き終えた彼は、ベットで横になっている私の隣に寝転がってきた。


「そういえば、明日また美容院行くとか言ってなかったか?」

『うん。頼んでるものを取りに行くの。』

「?何を頼んだんだ?」

『ウィッグだよ。雑誌に載ったせいでボディーガードの仕事やりにくくなったら困るし、しばらくの間ウィッグ被っての生活かな。」



これは葉山の提案だった。
髪型を変えれば女性の印象ってだいぶ変わるし
時間が経てば私の噂も無くなるだろうからね。


「なるほどな。
でも近くで見たら美緒だってバレるだろ。」

『その時は似てるだけだって言って誤魔化すよ。』

「そうか…。上手くやれよ?」


そう言いながら私をギュッと抱き締めてきた零くん。

お風呂上がりだから
零くんの使っている爽やかなシャンプーのいい香りがして
このままずっと抱き締められていたくなる…。


そう思っていると、零くんのスマホの着信音が聞こえてきた。


「…誰だ。」


零くんはベットから出てスマホを持ち
ダイニングの方へ向かっていった。


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