第56章 美容
『零くんの話をしてた時に…撮られたの…。』
「え…」
『恋人がいるって言ったら、どんな人なのかって聞かれたの。
零くんのことを頭の中で思い浮かべてたら、
カメラマンの人がいきなりパシャって写真撮ってて…
写真はたぶんその時の…。』
…もうやだ……恥ずかしすぎる…。
零くんの事を考えてる時の私って
あんな顔していたんだと思うと恥ずかしくてたまらない…。
零くんのことが好きっていう気持ちが溢れ出てる顔だったから…
そんな事を考えていると、
零くんは突然私の後頭部に手を回し、噛み付くようなキスを浴びせてきた。
『んんっ』
「…っ、馬鹿美緒。」
『え……?ぁ…っ…』
キスをされながらベットに押し倒されて
零くんが跨ってきたのでわたしは身動きが取れなくなってしまった。
「全くお前は……
どれだけ僕を夢中にさせれば気が済むんだ。」
『!?…んんっ!』
零くんはキスをしながら片手でネクタイを緩め、
自分の着ているワイシャツのボタンを外しベットの下に脱ぎ捨てていた。
もう片方の手は、ずっとわたしの頭に添えていて
キスから逃げないように押さえていた。
「僕のことを考えてたから…
あんな顔してたんだな?」
『!!…ゃっ…ぁ…』
零くんはわたしの耳元で囁き、私がコクンと頷くと
耳朶にもキスを落としてきた。
「美緒のあんな顔……
誰にも見せたくなかったのに…」
『…っ、ご、ごめん…。』
「許さない。」
『やっ……待って…!』
「待てるか。
今日は優しくできないからな。」
零くんはわたしの着ている服を荒々しく脱がせて
最後までずっと余裕のない手つきで私を抱いた。
その時の彼の表情も本当に余裕がなさそうで
息遣いも激しくて……
零くんは長い時間をかけて私を何度も抱き、
わたしはいつの間にか気絶してしまっていた。