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《降谷夢》bonheur {R15}

第56章 美容



「お疲れ様です、美緒さん。」

『……あ、安室さん………お、お、お疲れ様です…。』


ずっと笑顔を崩さない零くんに恐怖を感じて
思わず噛んでしまった。


「僕からの電話を勝手に切って
ちっともかけ直して来なかった理由を聞かせてもらいましょうか…?」

っ!!やっぱり滅茶苦茶怒ってる…!!!


私がガクガク震えながら説明しようとすると、
近くを歩いていた人達が私を見てコソコソと話しているのが聞こえてきた。



「ねぇ、あの女の人…雑誌の表紙に載ってた人じゃない?」
「ほんどだ!一緒にいるの彼氏かなぁ。」
「サイン頼んでみる?」


いや、サインって……。
そんなの書いたことないんだけど…。


「…ここじゃ目立つので
とりあえず車に乗って下さい。送って行きます。」

『…はい……。』


全力で走って逃げ出したいけど
そんなことしたらますます怒らせてしまうと思うので
私は大人しく零くんの車の助手席に乗った。



『……。』
「……。」


無言の圧に耐えられない!!

なんだか胃が痛くなってきた…。



どうやって話を切り出したらいいのか分からなくて
さっきから口を開こうとしては閉じてを繰り返している私…。

そうしているといつの間にか見覚えのあるアパートに到着していて
そこは私の家ではなく、零くんの家だった。


無言のまま車を降りた零くんの後をついて行き
彼が部屋のドアの鍵を開けて中に入るように促されたが…

私はあまりの恐怖で足が動かなく固まっていると
腕をグイッと引っ張られて、強引に部屋の中へ入れられた。


そしてそのまま和室のテーブルの前に座らさせられて
零くんはテーブルを挟んだ私の向かいに腰を下ろした。


「…雑誌のこと…説明してもらおうか。」

『その前にそのオーラをなんとかしてくれないかな…。
怖くて萎縮しちゃうよ。』

「……ふざけてないで早く話せ。」
『…っ、はい。実は……』



わたしは零くんに編集者の人から聞いた話を全て話した。


零くんの顔を見るのさえ怖くて
ずっと俯いたまま話していたから、彼はどんな表情で聞いてくれていたのかは分からないけど…

怒りのオーラは説明し終えた今でもまだ治っていないような気がした。


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