第56章 美容
机の上に置かれた雑誌に目を向けると
先日カットモデルをした時の服装の私が表紙に載っていた。
『!?な、な、なにこれ!?』
梢「えー!?
美緒ちゃん表紙に載るなんてすごいじゃない!
すごく可愛いわ〜」
いやいや!話が違うじゃん!!
なんで表紙!?
美容院特集のページだけじゃなかったの!?
どうしてこうなったのか意味がわからなくて
頭を抱えていると、私のスマホが振動し画面を見ると
零くんからの着信だった。
……出たくない……すごく出たくない…。
でもきっと彼のことだから
電話に出るまでかけ続けてきそうな予感がしたので
わたしは渋々電話に出ることにした。
『…はい……』
「美緒…一体どういうことだ!
なんでお前が雑誌の表紙に載っているんだよ!』
『…っ。』
電話の向こうでは明らかに怒っている零くんが怒鳴ってきて
わたしはやはり電話に出なければよかったと後悔した。
『ご、ごめん……私も今雑誌見たところで…
本当に何も聞いてないから分からないの…。』
零くんにそう伝えている時、
事務所の電話が鳴り梢さんが出ると、私に受話器を向けてきた。
梢「美緒ちゃん、雑誌の編集者の人から電話よ。」
『!!ごめん零くん!一旦切るね!』
わたしは零くんの返事も聞かずに電話を切り、
そのまま梢さんから受話器を受け取り編集者の人からの電話に応答した。
『もしもし!?一体どういうことですか!?』
私がそう尋ねると、いつの間にか事務所に戻ってきていた東社長が電話のスピーカーボタンを押していた。
「大変申し訳ありません!
実は……表紙担当の編集者がカメラマンから渡された写真のデータを見て
若山さんのことを新人のモデルだと勘違いしたようでして…。」
…はぁ!?
「校了前にチェックをした編集長は
若山さんがモデルじゃないことに気付いたんですけど……
きっと売れるだろうからこのままで行こうって勝手に決めちゃったらしいんですよ…。」
嘘でしょ…
私ただの一般人だよ!?
せめて事前に私には教えてよ!!