第56章 美容
いつも私のことを心配してくれて
私に何かあった時には真っ先に駆けつけてくれようとする零くん…。
日本の平和を守るために命懸けで頑張っている彼のことを
本当に尊敬してるし、誇りに思っている。
頭の中で零くんのことを思い浮かべるだけで
自然と顔が綻んでしまう。
カシャッ
『ん!?…え!?』
シャッター音が聞こえて女性カメラマンの方を見ると
その人は私の方にレンズを向けていた。
「すごくいい顔してたので思わず撮っちゃいました!」
エ「私も美緒のそんな顔見たの初めて!
その彼氏のことすっごく大好きなんだね〜!」
『!?ちょっと…!
そんなの撮らないで下さいよ!!』
エ「いいじゃない。今の写真、彼氏に見せてあげたら?」
っ、そんなの無理!!
零くんのこと考えてた顔なんて…間抜け顔に決まってる!!
しばらくエリス達に揶揄われ続けたが、
私のカットモデル体験は無事に終了した。
いい記事にして下さいね!と編集者の人にお願いをしてから
わたしは美容院を出て自宅に帰ってきた。
ーーーーーー…
それから数日が経ち、今日は雑誌の発売日。
いつも通り朝から事務所に向かい仕事をしていると、
梢さんが少しウキウキした様子で声をかけてきた。
梢「早く読みたいなー!美緒ちゃんが載った雑誌。」
『いや、載ったっていっても横顔と髪型だけですよ?』
梢「それでもやっぱり身近な人が雑誌に載るなんて滅多にないじゃない!
社長と葉山くんが営業の帰りに本屋で買ってきてくれるから
みんなで一緒に読もうね!」
……そこまで楽しみにされるとなんか恥ずかしいな…。
梢さんと一緒に仕事をしながら社長と葉山の帰りを待っていると
階段を駆け上がる大きな足音が聞こえてきて、
その後すぐ事務所のドアがバタン!と大きな音を立てて開き
目を向けると息を切らした葉山が立っていた。
梢「葉山くん…?そんなに慌ててどうしたの?」
『もうちょっと静かに入ってきなよ。ドアが壊れる。』
葉「はぁ…はぁ…若山…お前……
どういうことだよ!!」
『??……なんのこと?』
葉「は!?知らねぇのか!?」
葉山は私達の元に近づくと、手に持っていた雑誌を机の上に置いた。