第55章 決闘
side 松田
「あー、くっそ…まじでいってぇ…。」
班長と萩に支えられながら宿舎までの道のりを歩く俺。
ゼロと本気でやり合いたくて威力が落ちたとか挑発するようなこと言ったけど
本当は昔と同じくらい…いや、昔より遥かに強くなっていたあいつに驚いた。
伊「随分ひどくやられたよな。」
萩「自業自得だけどな。」
「…うるせぇよ。
悪いと思ってるから何発か避けずに受け止めてやっただろうが。」
こいつらも一部始終見てたなら知ってるはずだ。
ゼロもそれに気づいて加減するかと思ったが容赦なく殴ってきやがって…。
でも…ゼロがあそこまで強くいられるのは
100%美緒のおかげなんだろうな…。
萩「…もう美緒ちゃんのことは諦める?」
「ああ。……ゼロにはかなわねぇよ。」
伊「お前はいい奴だ。
いつか美緒以上に大事なやつができるだろうよ。」
……そうだといいけどな。
萩「それより、どうだったんだよ?」
「は?どうって何がだよ。」
萩「決まってんじゃーん!美緒ちゃんとキスした感想だよ?」
「なっ!!んなのてめーに言うわけねぇだろうが!」
萩「えー?いいじゃん教えてよ。」
「言うか馬鹿!!」
伊「おい!お前ら騒ぎながら暴れるな!!
近所迷惑だろ!」
…萩が変な質問してくるからいけねぇんだよ!
俺たちはそのまま宿舎までの道のりを歩いたが
萩がふざけたことばっか言うから、結局最後まで騒がしいままだった。
……美緒とのキスの感想なんて言えるかよ…
人生で1番最高の出来事だったなんてな…。