第55章 決闘
2人で息を乱しながら睨み続け、
お互いの様子から限界が近いと分かり
僕達は最後の力を振り絞って距離をつめ拳を振るった。
そして
松田の拳は僕の顔に、僕の拳は松田の顔に…………
相打ちとなって、僕達はそのまま地面に横たわった。
「……はぁ…はぁ…………。」
「………はぁ……はぁ…なぁ、ゼロ…。」
「…なんだよ。」
「お前、美緒のどこに惚れたんだ?」
「全部だ。」
「ははっ、即答かよ!まぁ俺もだけどさ。
でも1番好きなのは…
あいつが幸せそうに笑ってる顔なんだよ…
お前と一緒にいる時のな。」
僕は横たわっていた状態から上半身だけ起こして隣に倒れている松田の方を向くと、
彼は自分の手を目元に置いていた。
「松田……」
「美緒のこと…
幸せにしないと承知しねーからな。」
「ああ……分かってる。
美緒の笑顔は僕が守り抜いてみせるよ。」
松田との話が終わったところで僕達の元に歩み寄る足音が複数聞こえてきて
顔を向けるとそこにはヒロと伊達班長、萩原が立っていた。
伊「全くお前ら……殴り合いなんかしやがって
昔から全然成長してねぇな。」
萩「ははっ。
でも2人共すっきりしたって感じじゃん?」
諸「1人の女性を奪い合って決闘するなんて
2人ともまだまだ若い証拠だね。」
松「お前ら……なんでここにいんだよ…。」
諸「ゼロが松田に電話してた時、こっそり聞いてたんだ。
ちょっと心配だったから萩原と班長にも連絡させてもらったよ。」
……ヒロのやつ。
僕の電話を盗み聞いてたなんて全然気付かなかったな…。
萩「俺たちが来てよかっただろ?
お前らボロボロだし自力で立てねぇだろうからな。」
「悪いな…面倒かける。」
伊「そんなの昔から慣れてるっての。」
諸「あはは、確かに。」
松田は班長と萩原に、
僕はヒロに肩を貸してもらいながら帰ることになった。