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《降谷夢》bonheur {R15}

第55章 決闘



「美緒だけは…譲れない。
いくらお前が僕の友人でも…あいつだけは……!
どんなに頼まれても彼女は絶対に渡さない!」


手放した方があいつの為になるかもしれないって今までに何度か考えた…

僕と一緒にいる事で危険な目に遭うかもしれないし
離れた方がいいんじゃないかって何度も葛藤した。

でも…美緒と離れるのを想像しただけで
信じられないくらいの恐怖が襲ってきたんだ。



僕にとって美緒は…かけがえのない大事な奴なんだよ…



松田は僕が殴った事で尻餅をつき、口の端から少し血を流していて
手でグイッと血を拭いながら立ち上がった。


「なら…お前から奪うまでだ。
今の一発は美緒にキスした代償で避けなかったけどよ…
久しぶりにテメェと殴り合いできるなんて嬉しいぜ。」


「僕が勝ったら美緒のことを諦めてもらうからな。」

「ああ、約束する。」


僕達は少しの間睨み合った後、互いに拳を振り上げ殴り合いを始めた。


昔、警察学校にいた頃にも同じような事があったな…と
頭の中で懐かしく思いながら僕は松田に攻撃を仕掛けていった。




ーーーー…




しばらく殴り合っていると僕と松田は互いに顔を腫らし
手の甲も痛々しくなってきていたがどちらもまだ倒れずに立ったままでいた。


「はぁ……どうしたゼロ、
昔より拳の威力落ちたんじゃねぇか?」

「それを言うならお前の方だろ。
腕が鈍ったんじゃないのか?」

「てめぇは本当にムカつく野郎だな!
鈍ってるわけねぇだろ!」


松田はそう言いながら再び拳を振り上げ僕に向かってきて
一発強いのをもらい、少しよろついてしまった。


「…っ…。」

「へっ。今回も俺の勝ちになりそうだな?」

「…何を言ってるんだ。前回も僕の勝ちだっただろ。」

「いいや、俺だね。」

「僕だ。」


「「……。」」


松田も僕も負けず嫌いだから
互いに自分が勝ったと思っているままで
この話題が出るといつも言い合いしている気がする。


「まだまだ…これからだよ。」


僕は絶対に負けない…負けるわけにはいかない…
松田に美緒を取られるなんて耐えられないからな。


それからまたしばらくの間
殴って殴られを繰り返しさすがに2人ともボロボロで、立っているのが精一杯になってきた。


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