第55章 決闘
side 降谷
僕は警察学校の近くにある公園のベンチに座って
電話で呼び出した松田を待っていた。
あいつから話したい事があるって言われた時、
きっと美緒のことなんだろうとは思っていたが……
美緒から松田とキスをしたと聞いた時は
正直かなりムカついた。
美緒に対してじゃなくて松田にだがな。
きっと彼女が睡眠薬を飲んで眠る直前にしたんだろう…
あいつは大事な友人の1人だが
美緒に手を出す男は、例えそれがどんなに仲のいい友人でも絶対に許せない。
ハロウィンの爆弾事件の時
僕は腕や足を怪我してしまったから、それが治るまで松田と話すのを先延ばしにしていた。
怪我を治してからじゃないと思い切り殴れないからな。
それに…松田もただ黙って殴られるとは思えない。
松田と話すまで美緒と連絡をとるのも控えていた。
すでに2週間も経ってしまって不安がっているだろうとは思ったが、松田とケリをつける前に美緒と会ったりすると、
彼女に怒りをぶつけて傷つけてしまう気がしたんだ。
早く…美緒に会いたい…
そのためにはあいつとちゃんと話さないとな……
少しの間そのまま座って待っていると
公園の入り口から人が入ってくるのが見えて僕のいる場所へと近づいてきた。
「待たせたな、ゼロ。」
「逃げずによく来たな。」
「逃げねぇよ。
でも、まずはお前に言いてぇことがあるんだ。」
「…なんだ。」
松田は真剣な表情で僕の目を真っ直ぐ見ながら話し出した。
「美緒に手ェ出したこと、お前には悪いとは思ってる。
後悔はしてねぇけど。」
「…また美緒に手を出したら許さないって言ったこと、覚えてるよな?」
「ああ。でも俺は……あいつが欲しくて仕方ねぇ。
好きすぎて諦められねぇんだ。だから……」
「僕に美緒を譲ってくれって言いたいのか?」
「……ああ…………
っ、!!いっ……てぇ……。」
松田が答えた瞬間、
僕は奴の顔を思い切り殴った。