第4章 卒業
美緒が松田に好かれていることは知っていた。
あいつは分かりやすいから……
それに…正直告白するとは思ってなかった。
そのことを聞いた時は、
柄にもなく嫉妬して、勝手に不安になっていた。
だから美緒にあんな聞き方をしてしまったんだろうな。
最低なことをしたと思う…
でも……あいつのあの時の表情と言葉で
僕を思ってくれていたことが伝わってきたから…
それがとても嬉しくて
気づいたら無意識に美緒を抱きしめていた。
抱きしめたままずっと離したくなかった。
僕の腕の中にずっと閉じ込めていたかった。
でもそれは…
今の僕には許されないことだ。
ずっとそうしてるわけにもいかなかったので
彼女から身を離して、手を繋いで学校までの道を歩いた。
このまま時間が止まればいい…
美緒の手を握りながら
僕はそんなことをずっと考えていた。
こんなにも美緒のことが好きなんだと実感したんだ…
今日のことは一生忘れないだろう。