第53章 昔話
渋谷のとあるビルに着いて班長達と合流する前に
ゼロに電話をかけた。
事件の捜査状況を報告する為に、事前にあいつの電話番号は聞いていた。
…今回の事件でしか使えない番号だけどな。
零「何の用だ松田。今立て込んでるんだが。」
「さっき美緒を送ってきた。ぐっすり眠ってたぜ。」
零「…それだけ言うために電話してきたのか?」
「いや…今回の事件のカタがついたら話してぇ事がある。時間作ってくれ。」
零「分かった…。
あまりいい話じゃ無さそうだな。」
「……悪りぃな、ゼロ…。」
俺はそのままゼロの返事を聞かずに電話を切り、ビルの中に入った。
「美緒に爆弾なんかつけやがって…
その報いはぜってぇ受けてもらうからな。」
プラーミャは今日、すでに退職した元警視正と結婚式を挙げる予定だ。
すぐに捕まえてやることもできるが
渋谷のどこかに爆弾を仕掛けているはずだから、それを吐かせるまで泳がせておけとゼロとあのボウズから言われていた。
俺は班長と屋上で合流し、少し後に諸伏も来て3人で張り込んでいた。
諸「ゼロはもう少ししたらヘリに乗ってここにくるよ。」
伊「あいつヘリの操縦までできんのか。」
「さすがだな。
ほんと……あいつにはかなわねぇよ。」
伊・諸「「……??」」
2人は俺の様子が変であった事に気づいたようだが
何も聞いてこなかったから正直助かった。
…そんな時、屋上の扉が開く音がした。
式の最中に正体がバレたプラーミャは
結婚式の後ヘリに乗る予定だったから
案の定、屋上に姿を現した。
待ち伏せていた俺たち3人を見たプラーミャは、
3年前の出来事を思い出しているのか怒りに震えていた。
「貴様ら…!!なぜここに!」
松「お前の狙いが俺達だってことは
美緒に爆弾つけた時から気づいていたからな。」
伊「ここ2、3日できるだけ人目につかないように過ごしていたんだよ。
お前に狙われないようにな。」
諸「残念だったね。お前の復讐劇はここまでだ。」
プラーミャは俺たちに銃を向けていたが
空からプロペラ音が聞こえるとニヤッと笑い
自分はまだ逃げ切れると思っていることが読み取れた。