第53章 昔話
「…なぁ、美緒。」
『んー?』
「もし……
3年前にボコられたのがゼロじゃなくて俺だったら…
お前、どうする?」
『どうするって…
そんなの犯人に怒るに決まってるじゃん!
たぶん今と同じようにどうやって仕返ししてやろうか考えちゃうと思うよ!』
「ふっ…そうか。」
なんでそんな質問をしたのか分からなかったけど
松田くんはなんだか少し嬉しそうな顔してたから
気にしない事にした。
「あー!くっそ…!
厄介なところに入り込んでやがるな…。」
松田くんはしばらく集中して首輪を外そうとしていたけど
どうやら少し苦戦しているようだった。
『ねぇ、松田くん。』
「なんだよ。今ちょっと手こずってんだ。」
『焦りこそ最大のトラップ…じゃなかったっけ?』
松「…っ、ああ。…そうだったな。」
松田くんは一度深呼吸をして気持ちを引き締め直し、
首輪を外すために格闘すること数十分…
私についていた首輪は
カシャン、と音を立てて床に落ちた。
『っ!!やったぁ!!外れた!
ありがとう松田くん!!
本当に本当にありがと…う…っ…!?』
お礼を言い終わる前に松田くんは私を強く抱きしめてきて
一瞬何が起こったのか分からなかった。
「……美緒…
好きだ。」