第53章 昔話
そしてそのまま数時間が過ぎて
時刻は午後2時。
再び零くんのスマホに着信が入り、
少しの間話をし終えるとその電話の内容を私にも教えてくれた。
「中和剤が完成したそうだ。
今から松田と萩原がここに来る。」
『え、もう出来たの!?』
さすが公安様。
仕事のスピード早すぎる…!
「美緒、僕は2人が来たら先にここを出る。
行かなければならないところがあるからな。」
『うん!大丈夫だよ!
むしろずっと一緒にいてくれてありがとう。
零くんのおかげで全然退屈しなかったよ。』
「僕が美緒のそばにいたかっただけだ。
礼なんていらない。」
零くんは微笑みながらそう言ってくれて
私の事を大事にしてくれている気持ちが伝わってきた。
そして数十分後…
萩原くんと松田くんが複数の道具箱や
中和剤が入ったケースを抱えてシェルターにやって来た。
「2人とも、美緒を頼んだぞ。」
萩「任せとけって!」
松「お前はもう行くんだろ?……気をつけろよ。」
「ああ。」
零くんは2人と話し終わると
私の方を少し見つめてから出口へと向かって行った。
零くんを見送っていると、
松田くんと萩原くんが防護服を着てガラスの中にいる私の元に近づいてきた。
『2人ともお願いね。』
松「おう。」
萩「もう少し我慢してね?」
2人は私の首輪爆弾に触れて
様々な道具を使い、まずは中和剤を入れる事に成功した。
松「…よし、これで爆発の心配は無くなったぞ。」
萩「あとは首輪を外すだけだな。」
2人は防護服を脱いで一旦一息をついていた。
やはり爆弾を扱ってるから
かなり集中して作業してくれていたんだろう。
松「残りは俺に任せて、お前は行っていいぞ。
ゼロに仕事頼まれてんだろ?」
…そうなの?
零くん一体何を頼んだんだろう…。
萩「んじゃ、お言葉に甘えて。」
『萩原くん、本当にありがとね!仕事頑張って!』
萩「礼なんていらないよ!
美緒ちゃんの為だからね。じゃあ松田、後はよろしくな。」
松「おー。」
松田くんが手をヒラヒラとさせて萩原くんを見送った後
再び私の首輪に手をかけた。