第52章 人質
「来たな…。」
零くんは受話器を持ったまま
エレベーターがある後ろの方を向くと
松田くん、萩原くん、伊達くん、諸伏くんが降りてきた。
そして
ガラスの中にいる私の存在に気づき、驚きながら近づいてきた。
諸「美緒ちゃん…!
まさかその首についてるのって…。」
「ああ。あの時と同じ…爆弾だ。」
松「っ、なんで美緒がそんなもの付けられたんだよ!」
萩「まぁまぁ、陣平ちゃん。ちょっと落ち着きなって…。」
伊「…ゼロ。俺たちをここに呼んだのは
3年前のあいつが現れたからか?」
「ああ…
奴は僕たちに仕返しをする為に
美緒の首に爆弾をしかけて人質にとったつもりなんだろう。」
きっとお面をつけていたあの犯人は
私の職場の場所や通勤に使う道も調べてて
あの子供を使って廃ビルにわたしを誘い出したんだろうな…
そう考えるとあの犯人には本当に腹が立ってくる。
みんなの話を受話器越しに聞きながら様子を見ていると
彼らの手は強く握りしめられて、わたしと同じようにかなりお怒りのようだ。
松「美緒にあんな悪趣味な首輪つけやがって…!
ぜってぇ許さねぇ!!」
伊「あの時捕まえ損ねちまったからな…。
今度こそ牢屋にぶち込んでやろうぜ。」
萩「当然。
美緒ちゃんをこんな目に合わせた奴を
逃すわけにはいかねぇよ。」
諸「美緒ちゃんを人質にするなんてやり方が汚すぎる…
俺達に喧嘩を売ったこと、後悔させてやろう。」
…みんなの目が怒りで燃えていて
わたしはガラスの中から少し引き気味に見ていた。
だって本当にみんな怖くて、人を殺しそうなオーラが出てるんだもん…。
「松田と萩原は
一度美緒につけられた首輪爆弾を外せるかどうか見てくれないか?
防護服はガラスの裏側にある入り口付近に置いてある。」
松「おう。」
萩「りょーかい。」
松田くんと萩原くんは重そうな防護服を着てから
わたしがいるガラスの中に入ってきた。