第51章 副手
一応覗き穴から確認すると
バーテンダーの変装を解いていた零くんだったので私は鍵を開けた。
ドアを開けると零くんはサッと入ってきて私を抱きしめてきたので
私も彼の背中に腕を回すと、零くんは大きなため息をついていた。
「…美緒……。会いたかった。」
『うん…私も会いたかったよ…。』
.
零くんと会うのはこの前の火事の時以来で10日ぶりだった。
『零くん大丈夫…?
なんかすごく疲れてるみたいだけど…。』
「…ああ。少し組織の仕事に手こずってな。
でも、いい事もあったんだ。」
『??いい事って…?』
「美緒のドレス姿が見られたから。
すごく似合ってて綺麗だ。」
『え…!?な、な、何言ってんの!?』
「先に赤井が見てたことはムカつくけど、
今からは僕が美緒のことを独占できるしな。」
そう言いながら私と体を密着させてくる零くん。
そのままおでこや頬、目など顔中にキスをされて
耳元に唇を寄せてペロッと舐められたと思ったら
今度は首筋にチュッ、と音を立てると勢いよく吸われた。
『やっ、待って…、痕つけちゃだめ…っ。』
「もう遅い。…美緒は僕のだって印だ。
全く…赤井と腕組んでただけでもムカつくのに
こんな目立つ格好して…。」
零くんはそう言いながら、
私の空いている背中を手でなぞってきたので私はビクッと反応してしまった。
『れ、れいくん…。くすぐったいよ…』
「お前のこの姿を見て、
カジノにいた男達はみんな釘付けになっていたぞ。」
『う、嘘だよそんなの…。
そんなわけないじゃない…。』
「そう思ってるのはお前だけだ。
現に変な男に絡まれていたじゃないか。」
…まぁ、確かにそうなんだけど…。
「美緒を見る男達全員の目を潰したくなったよ。」
サラッと恐ろしいことを言っている零くん。
本気なのか冗談なのか分からないから余計に怖い。