第51章 副手
『……。
零くん……?
顔の変装までして、こんなところで何してるの…?』
「お前とFBIを見張りにきたんだよ。
美緒を貸すことは了承したが、2人にするのは心配だったからな。」
相変わらずの過保護…!
いや、会えたのは嬉しいんだけどね…?
『…潜入先の組織で仕事じゃなかったの?』
「それはもう終わった。
美緒の家に行こうと思ったらFBIから連絡が来たんだよ。」
………。
っていうかもう昴さんが秀一くんなのバレてるじゃん!
私はキョロキョロと秀一くんを探してみるけど
やはりカジノの中にはどこにも彼の姿は見えなかった。
「あいつならもう仕事が終わったからって出て行ったぞ。
ここには戻ってこない。」
『え…うそ…!
じゃあ私どうやって帰ればいいの…!?』
私がそう言うと、バーテンダーに変装している零くんがニヤリと笑っていて
ゾクっと寒気がした。
「心配するな。
ここのホテルに部屋をとってある。僕は後から行くから先に行ってろ。」
『え…私明日は仕事なんだけど…。』
「お前の着替えはすでに持ってきてる。
朝は仕事場まで送って行ってやるから。」
…嘘でしょ!?
なんでそんなに用意周到なの!?
『ねぇ、まさかとは思うけど…
私を彼に貸したのは最初からこのホテルに泊めさせるためだったわけじゃないよね…?』
「…さぁな。」
さぁな、って…!!
それもう認めてるようなものじゃん!
「…それより、早くここのカジノを出てくれ。
さっきから他の男達がお前に話しかけようとずっと狙ってる。」
……それは面倒臭い。
隣で突っ伏して眠っている男みたいな人を相手にするのはもう嫌だから
私は零くんからホテルの部屋の鍵を受け取って、カジノの会場を後にした。