第50章 金槌
コ「良かった!
美緒さん無事だったんだね!」
『当たり前でしょ?あんな武器に頼るような女に負けないよ!』
伊「全くお前は……また1人で勝手に動きやがって。
どこであの女が犯人だって分かったんだ?」
『洗濯物の中に下着や靴下が無かったのは、性別を知られたくなかったからって考えたら犯人は女の人かもって思ったの。』
それに、警察に見つからずに下着とかを持ち出せるのは
荷物を集荷に来たバイク便の人だけだったからね。
ちなみにお風呂場を綺麗にして、歯ブラシを持って行ったのは
自分が住んでいた痕跡を消すためで、
電気カミソリは一緒に住んでいた男が使っていたんだろうけど
女性は使わないもんね。
伊「今までの被害者は誰も男に殴られたって言ってなかったし
凶器がハンマーだったから、その凶暴性から男だって思い込んでたな。」
『なんとか男、ってよく聞くもんね。』
コ「でもびっくりだよね!
まさかあの殴られた男の人が本当のバイク便の人で
犯人がすり替わってたなんて。」
きっと宅配便とピザ屋を呼んだのも、
自分と同じ体型の人を探す為だったんだろう。
わざわざ時間をずらして部屋に呼んでいたみたいだし、
ドアの前にメモを貼って鍵も開けておけば
勝手に部屋に入ってくれるだろうから
本物のバイク便の人はそこを襲われたんだろう。
コナン君が見つけた靴も
つま先が傷ついててシフトパッドのついた靴は一足だけだったし
あの女性はバイクを運転できないから、そのまま玄関に置いて行ったんだろうなぁ。
伊「じゃあ、なんで美緒はあの女がここにいるって分かったんだ?」
『バイク便に成りすましてるなら
早くあのつなぎの服を着替えたいんじゃないかって思ったの。
あの格好じゃ電車やタクシーには乗りづらいし…
人目につかず着替えられる場所って言えば、お店の中じゃなくて
公園のトイレがベストかなって。』
松「…ピザ屋の男が襲われた理由は?」
『警察の目を欺く為かな。
ピザ屋の店員がお店に戻って来てなかったら、
警察はその人を犯人だって疑うでしょ?
だからきっと、どこかに監禁してるかもって思ったの。』
でも予想通りすぎて、私自身も驚いたんだけどね…。