第50章 金槌
松「目撃者の通報を受けてから、他の刑事達が一軒ずつ部屋を回って調べた結果、ほとんどの住人にアリバイがあったんだ。
で、明らかに部屋の中にいるのに居留守を使ってたのが、
あそこの3階の部屋だったっつーわけ。」
犯人だっていう証拠があれば令状とって部屋に踏み込む事もできそうだけど
まだ今の段階じゃそれは難しいんだろうな…。
コ「ねぇ、その部屋の人って本当にハンマー男なの?」
『あ、確かに。模倣犯の可能性もあるよね。』
伊「いや、それはねぇな。
その犯人、目撃者に声をかけられて慌てて走って逃げて行く時に
血まみれのハンマーを殺害現場に忘れて行きやがったんだ。」
伊達くんの話を詳しく聞いたら、
その凶器のハンマーには前の3件の被害者の血はついていたけど
犯人の指紋は付いていなかったらしい。
『あれ…?
でも部屋が分かってるなら住んでる人くらい調べれば分かるんじゃないの?』
松「それがそう簡単には分からなくてなぁ…。」
どうやら部屋の住人は現在バックパッカーとして海外を放浪中で
部屋は友人の男に貸していると、住人の親から聞いたそうだ。
そして現在部屋に住んでいる友人の男、という人は
彼女を連れ込んで一緒に住んでいたそうだけど
最近はその彼女も訪ねてこなくなったと、隣の住人から聞けたみたい。
松「一日中部屋に引き篭ってるらしくて
外出するのは大体夜だけ。いつも帽子とかフード被ってて
顔を覚えてる住人はいなかったよ。」
…うーん。
確かに簡単には分からないようだ。
みんなで頭を抱えて考えていると
別の場所で張り込みをしていた高木くんが私達の元へ近づいて来た。
なんでも例の3階の部屋に出入りしていた人物達を連れて来たらしい。