第49章 火事
目が覚めると、
僕はどこかの倉庫らしき所に閉じ込められていた。
たぶんまだホールの中なんだろうけど、
煙のせいで視界がすごく悪い。
恐らく爆弾が爆発して火災が発生しているんだろう……。
助けを呼ぼうにもスマホは抜き取られているようだし
手には手錠がかかっていて、柱に回されている状態だから自力で外すのは不可能だ。
色々脱出方法を考えたがここで助けを待つ以外、
助かる方法は思いつかなかった。
…しかしこんな所に人がいるなんて誰か気づくのか……
頭の中で思考を巡らせていると、
先ほどよりも煙の濃度が濃くなってきた。
「……ごほっ、ごほっ……!」
このままここにいると本当に危ない…!
出来るだけ顔を低くして煙を吸わないようにしていると、
外から僕を呼ぶ声が聞こえてきた。
『零くん!……零くん!!どこにいるのー!?』
…美緒!?
なんであいつまだ避難していないんだ…!
僕は柱に繋がれている状態だし、
美緒だけでも先に逃げるよう伝えようと思い、
煙のせいで大声を出せなかったので、僕は手錠の鎖を柱に強く打ち付けて音を出した。
『…!零くん!?ここにいるの…!?』
美緒が扉の前まで来る音がしたので
僕はもう一度さっきと同じように手錠の鎖で音を出した。
すると
正面にあった扉は美緒が蹴破ったことで開き、
ボロボロの姿の彼女が僕に駆け寄ってきた。