第49章 火事
『風見さん…?どうしたんですか?』
風「若山さん!今降谷さんと一緒ですか!?」
『いえ、違いますけど…。
彼がどうかしたんですか…?』
風「先ほどからずっと連絡が取れないんです!
葉山さんにも聞きましたが、外にもいないそうで
ひょっとしたらまだホールの中にいるかもしれません!」
『嘘でしょ!?
一階はもうほとんど火の海ですよ!?』
風「最後に連絡をとったのは演奏会が始まる前です。
電話を切った後に何かあったのかもしれません…。」
『居場所に心当たりは!?』
風「連絡をとった時は
北側にある男子トイレにいたようですが…」
北側ってことは……さっき登ってきた階段のすぐ近くか!
『わかりました、探しに行きます。』
風見さんとの電話を切り、私は再びインカムから松田くんに声をかけた。
『松田くん?聞こえる?』
松「ああ。梯子の下で待機してる。早く降りてこい。」
『…松田くん。まだホール内に人が残ってるみたいなの。
私は今から探しに行ってくる。』
松「お前…っ、いい加減にしろよ!?
もうすぐ消防隊が到着するから、後はそいつらに任せろ!」
『それだときっと間に合わない!
……殺し屋の女を捕まえておいたから、梯子の前に置いておく。
登ってきて下ろしておいて。』
松「美緒……頼むから行くな!
お前も…降りてきてくれよ……!」
『…松田くん……。さっきも言ったよね?
私のこと信じてって…
絶対彼も助けて避難するから。』
私はそのままインカムを切って投げ捨て
零くんがいるであろう一階のトイレに向かった。
…今度は私が貴方を助ける番だよ……。
零くん……待っててね……