第49章 火事
皇「あなた……!
今日私と一緒に演奏会に参加してた…!」
「楽器の演奏くらいやれるわよ。
ターゲットを殺すためには色んな所に潜伏してきたもの。」
『あなたが……この男に雇われた殺し屋だったのね。
スプリンクラーのシステムをいじったのもあなたの仕業?』
「うふふ。その通り。
昨日こっそり侵入した時にね?」
その女は確かに演奏者の1人だった。
まさか殺し屋がその中に紛れ込んでるなんて
さすがに私も気づかなかった……。
「ま、待ってくれ!
依頼はキャンセルするから!もうやめてくれ!」
「…残念だけど、一度受けた依頼はやめない主義なの。
ターゲットのその女、始末させてもらうわ。」
女はそのままナイフをチラつかせながら私達に近づいてきたので
わたしは皇さんを葉山に押し付けて殺し屋の女の前に立ち向いた。
『葉山!2人を連れて先に外に行って!
わたしはこの女の相手して時間稼ぐから!』
葉「はぁ!?そんなこと出来るわけないだろ!」
『いいから早く行け!
警護対象者を守るのがボディーガードの勤めでしょうが!』
葉「…〜っ、ああもう!!分かったよ!
死んだら承知しねーからな!?」
「…行かせるわけないでしょ?」
葉山が2人を引き連れて走り出そうとした時
殺し屋の女は持っていたナイフを彼らに向かって投げたので
わたしは懐から折り畳んでしまっていた小さい警棒を取り出し
そのまま投げてナイフを弾いた。
「二度も私の邪魔するなんて…。
あなた、結構やるわね。」
『殺し屋に褒められても全然嬉しくない。』
「うふふ…。貴方みたいな女を殺すの大好き。」
女は口紅で真っ赤に塗られた口を吊り上げて
笑いながら私に襲いかかってきた。
『…っ、くっ!』
「……!へぇ…、体術にも優れてるのね?」
女は私に鋭い攻撃をしてきたが
それを避けながらなんとか私も攻撃を当てに行った。
女に蹴りを喰らわすと、ガードされてしまったが少し吹き飛ばすことができた。
「…空気が悪くなってきたわね……。
……移動しましょ?」
『っ!?…待て!!』
女は近くにあった扉の鍵を開けて階段を登り2階に向かったので
私も後を追いかけた。