第49章 火事
『…ほら、私戻ってきたんだから
あんたはバルコニーの席移動して仕事してきて。』
私は警察の人から預かったインカムを葉山に渡して
しっしっ、と彼を追い払うことにした。
葉「ちぇっ…わかったよ……。
じゃあ皇さん、演奏頑張って下さいね!」
「はい!ありがとうございます!」
皇さんがそう言うと、葉山はニコニコしながら控室を出ていった。
『すみません皇さん。
うちの同僚が騒がしくて…仕事は優秀なんですけどね…。』
「ふふっ。葉山さんって面白い方ですね。
お陰でだいぶ緊張が和らぎましたよ。」
皇さんはそう言いながら笑っていたので
本当に緊張がほぐれていたようで安心した。
そのまましばらく控え室で待機していると
係員の人が控室に入ってきて、そろそろスタンバイしてほしいと言い
演奏者全員と伊達くん、高木くん、美和子ちゃん、松田くんも一緒にステージへ移動した。
零くんが言っていた殺し屋の件は
とりあえず零くんが公安の人間だと知っている伊達くんと松田くんにだけこっそり話しておいた。
そして演奏会が始まり私達はステージ袖で待機し
何事も起きないように祈りながら周りを警戒していた。