第48章 音楽
[命が欲しければ演奏会に出るな。
さもないと、お前の命だけでなく多くの者達の命が失われることになる。]
新聞や雑誌の切り抜きを使った
the 脅迫状って感じだった。
『この、演奏会というのは?』
「今度新しくできる緑台ホールをご存知ですか?
そこの開館記念を祝して、クラシック演奏会が開かれることになっていて
私もその演奏に参加するんです。」
なるほど…。
この脅迫状の文面からして
皇さんを狙ってくるのは演奏会の時だろうな。
私の隣で一緒に話を聞いていた東社長は依頼を引き受けることを彼女に伝え
私に警護を任せると言ってきた。
東「ちなみにこの事を警察には?」
「すでに話してあります。
明日はリハーサルで、警察の方が来てくれる事になってます。」
『その演奏会、中止する訳にはいかないんですか?』
「すでにチケットは完売していますし…
演奏会の当日には大手企業のお偉い様がいらっしゃるようで
中止にはできないと聞きました。」
まぁ、そうだよね…。
イタズラの可能性もあるし、そう簡単には中止できないか…。
東「分かりました。
若山、お前も明日皇さんに同行しろ。
当日は葉山と2人で警護な。」
『はい。
皇さん、よろしくお願いします。』
今回の仕事は警察と合同で警護することになりそうだ。
その後、皇さんと簡単な打ち合わせをしてから
彼女を自宅まで送った。
私はもう警察官じゃないから
脅迫状を送ってきた犯人を捕まえようとか、そんな事は考えてないけど…
なぜ犯人が脅迫状を出したのかは疑問だった。
皇さんは誰かに恨まれるようなことは全く身に覚えがないと言っていたし…
どうして彼女の命を狙おうとするのかな…。
それに脅迫状なんて出したら
警備が強化されることも予想できるはずなのに…
分からないことは多々あるけど
私の仕事はクライアントを守る事だ。
今回も精一杯やろう。