第48章 音楽
佐「先輩、お待たせしました!
犯人確保のご協力、感謝します!」
『どういたしまして。』
松「美緒の職場近くでひったくりするなんて
この犯人も運が悪かったな。」
……。どう言う意味なのそれ。
『…被害者はこちらの女性だよ。
特に何も取られていなかったみたい。』
佐「分かりました。
何かお聞きしたい事がある場合はこちらから連絡しますので
あなたのご連絡先を教えて頂けますか?」
被害者の女性は美和子ちゃんに名刺を渡していて
その後、2人は犯人に手錠をかけ、車に押し込んでいた。
松「じゃあな、美緒。仕事中に悪かったな。」
『ううん。またねー。』
松田くんと美和子ちゃんに手を振って見送り
職場に戻ろうと思い歩き出そうとしたら
なぜか被害者の女性に引き止められた。
「…あの!あなたにお願いしたい事があるんです!」
『…はい?』
「私を助けて下さい!」
『え……え?』
あまりにも必死の形相だったので
詳しい話を聞くために彼女を連れて事務所に向かった。
帰ってくるのが遅かった私を心配していた梢さんに事情を説明した後
会議室に入り、女性から話を聞くことになった。
「実はわたし、こういう者でして…。」
彼女は先程美和子ちゃんに渡していたものと同じ名刺を渡して来た。
『…バイオリン奏者?』
「はい、皇(すめらぎ)と申します。
実は先日、こんな物が自宅の郵便受けに入ってまして…。」
そう言われて彼女が出したものは、脅迫状だった。