第47章 喧嘩
零くんも私のスマホを覗き込み、
風見さんから来たメールを見て
どうして私がここにやって来たのかを悟ったようだった。
零くんの顔を近くで見ると、わたしはホッとして
急に足の力が抜けてしまい、そのまま地面に座り込んだ。
『……よかった…っ…。
事故に遭ったって聞いて…………
安室さん…死んじゃったらどうしようって……
すごく………、すっごく怖かった……っ…!』
目から涙がポロポロと流れ出し、
無事でよかったと呟くと
零くんは私の前にしゃがんで、目線を合わせて来た。
「…僕を心配して来てくれたんですね……。
ありがとう。」
そう言った零くんは
とても優しい顔をしていて、私はまた泣けて来た。
そのまま零くんに腕を引かれ立ち上がり、
肩を抱かれたまま病院を出た。
そして歩くこと数十分。
私たちはとあるアパートの前に着いた。
『…。あの…ここは…?』
「僕の家だ。」
…えぇ!?零くんの家!?
来るの初めてなんだけど!!
『…いいの?私に教えちゃって…。』
「本当はだめだけどな。美緒は特別だ。」
……特、別………。
『…嬉しい。』
素直にそう答えると、零くんはふっと笑い、
ドアの鍵を開けて私を部屋の中に入れてくれた。
『お邪魔します…。』
中に入ってみると、家具家電は最低限の物しか置いてなくて
部屋の中はすごく殺風景だった。
「ちょっと着替えてくるから、
適当に座っててくれ。」
零くんはそう言って、洗面所の方に向かった。
どうやら事故に遭った時、服が少し汚れて破けてしまったようだった。