第46章 鍛錬
私は今日何度目か分からない大きなため息をついて、
仕方なく秀一くんと食事に行くことにした。
「そんなに嫌がるなよ。」
『別に嫌がってる訳じゃなくて…
零くんに悪いなって思ってるだけ。』
零くんは普段とても優しいけど、
意外と嫉妬深いからなぁ…。
秀一くん相手だと特に…ね。
「心配しなくても、
お前に手を出そうなんて思ってないさ。」
『当たり前でしょ!?
なんかしようとしたら殴るからね!』
「ははっ。凶暴な女だな。」
そんな話をしながら
秀一くんの運転する車に乗っていると
おしゃれなイタリアンのお店に着き
秀一くんの後に続いて店の中に入り席についた。
『…ここ………すごく高いんじゃないの…?』
「お前はそんな事気にしなくていい。
俺の食事に付き合ってもらうんだから遠慮せず好きなの頼め。」
…そう言われてもなぁ……。
わたしが困っているところに
店員の人がドリンクメニューを持って渡して来た。
「彼女には、お勧めの赤ワインを。
僕はノンアルコールのワインをお願いします。」
「かしこまりました。」
勝手に店員さんに注文した秀一くん。
私は店員さんが去ってから彼に目を向けた。
『ちょっと昴さん…
私もノンアルコールでよかったのに……。』
「お前が飲んでるところを見てみたかったんだよ。」
『……わたし、ザルだから酔わないよ。』
「…ははっ、それは残念。」
何が残念なのか知らないけど
なんかちょっとムカついた。