第44章 追想
コ「…美緒さん……もうその辺で……」
『そう?まだまだやり足りないんだけどな。』
犯人の風戸先生は、
すでに意識がなく伸びてるようだったので
このくらいで勘弁してやろうと思い、彼から離れた。
その様子を見ていた零くんが私に近づいてきて
腕を引っ張り思い切り抱きしめた。
『ちょっ…と、零くん…あの、苦しい……。』
「我慢しろ……僕の事まで忘れるなんて…
どれほど苦しんだと思ってるんだ馬鹿。」
『……ごめん…。』
「正直かなりキツかった…癒やせ。」
『…うん。』
私たちは少し見つめ合ってからキスをした。
零くんとのキスは久しぶりで
私が彼を癒しているつもりなのに、
私も癒されているような気分になった。
コ「…あのさ、そういうのは2人の時にしてくれないかな…。」
…っ!!
コナン君がいること忘れてた!!
『ご、ごめんコナン君!』
コ「……でも、美緒さんの記憶が戻ってよかったよ。」
コナン君にお礼を言っていると、
パトカーのサイレンの音が近づいてきた。
「美緒、僕は先に帰るよ。
これ以上ここにいると流石に目立つから。」
『あ、そっか…怪我してるのに大丈夫?』
「心配ない。後で手当する。
美緒の家で待ってるから、ちゃんと誰かに送ってもらえよ?」
彼はわたしの頭を一撫ですると、
そのまま耳元に口を近づけて囁いた。
「さっきの癒しの続き、
家でたくさんしてもらうからな。」
『…っ!?』
わたしが顔を赤くして固まっていると、
零くんは笑いながら立ち去って行った。
コ「ねぇ、安室さんに何言われたの?」
『っ、え!?な、なんでもないよ!!』
コ「……まぁ、大体想像つくけどね。」
『子供が変な想像するんじゃないの!!』
私とコナン君が2人で話していると、
パトカーが近くに止まり、私たちの元へ多くの人が駆けつけてきた。