第44章 追想
『……死ぬかと思いました……。』
コ「大丈夫、生きてるよ!
…あ、安室さん!あそこでボート止めて!」
安室さんはコナン君に言われた通りの場所にボートを停め、
私達は、降りた場所の近くにある切り立った岩のようなアトラクションに駆け上った。
その岩の頂上に辿り着き、3人で岩陰に隠れていると
犯人が徐々に近づいてくる音がして
コナン君が近くの岩に上り、犯人に姿を晒した。
私が驚いていると、安室さんが
ここでしばらく大人しくしているようにと耳打ちしてきた。
コ「もう追いかけっこは終わりにしようよ。
ねぇ、…風戸先生?」
…え……?
岩陰から顔を少し覗かせて見てみると
コナン君の言った通り、
私を優しい顔で診察していた時と顔付きが全く違う風戸先生が姿を現した。
なんで……風戸先生が…?
あの人が私を殺そうとしてた犯人、ってこと……?
頭の中で混乱していると
コナン君はそのまま風戸先生と話し出した。
1人目の被害者である奈良沢さんという刑事さんが
死ぬ間際に左胸を掴んだのは、警察手帳ではなく
心療内科の文字の一つである、【心】を示していたと…。
風戸先生はどうやら元々外科医で
とある患者の手術中に左腕を負傷し、
外科から心療内科へ転科することにしたとのこと。
しかもその患者は、先程逮捕されていた友成 真さんのお父さんで
手術中に息を引き取ったそうだ。
後から分かった事らしいが
風戸先生の負傷した傷は
実は事故ではなく、別の医者により故意につけられたもの。
その事が許せなかった風戸先生は、
その医者を自殺に見せかけて殺害した。
その事件は、自殺として警察に処理されたが
3人の刑事によって再捜査されることを知った風戸先生は
警察の手が自分に及ぶ前にその刑事達を始末しようとしたらしい。
風戸先生は白鳥さんという刑事さんの主治医で
その人から再捜査されることを聞いていたそうだ。
心療内科は、ストレスを抱えた患者を対象としている為
警察関係者の人が受診するのは頻繁にあるんだとか。