第41章 友情
『…最初の悪口は要らなかったんじゃないですか?』
「あなたが正直に話してもいいと言ったんですよ?」
言ったけど!確かに言ったけど!!
私が少しむくれていると、安室さんは笑い出した。
「そのムスッとした顔、久しぶりに見ました。
やっぱり記憶を無くしても、美緒さんは変わりませんね。」
『…私のこと馬鹿にしているんですか!?』
「ははっ。そんなつもりはないですよ?」
嘘つけ!!
安室さんはどうやら優しいだけじゃなくて
結構意地悪なところもある人のようだ。
そのまま安室さんとしばらく話していると、
再び病室の扉がノックされ看護師さんが中に入って来た。
いつの間にか検査をする時間になっていたらしい。
「じゃあ美緒さん、
僕は一旦帰りますね。またすぐ来ますから。」
『はい!ありがとうございました。』
わたしが頭を下げてお礼を言うと、
安室さんも微笑んでくれて病室から出て行った。
その後は伊達さん、高木さんという刑事さんが交代で私の警護をしてくれていた。
伊達さんとは警察の時の同期で、
高木さんは私の後輩だったそうだ。
彼らにも覚えてないことを謝罪すると、
気にするなと言って私のことを責めたりしなかった。
安室さんから聞いていた通り
私の周りの人達は、本当に優しい人ばかりだった。
私はとても恵まれた環境で毎日を過ごしていたんだな…。