第41章 友情
「美緒さんはいつも自分のことより
他人のことばかり気にする馬鹿がつくくらいのお人よしでした。」
『…。』
「あなたが事件に巻き込まれて大怪我をして動けない時、
自分のことはいいから、先に別の人を助けに行けと言われたこともありました。」
『…。』
「すぐ危ない事に首を突っ込むので
美緒さんの周りの人達は、いつもあなたを心配していましたよ。」
『…。』
「そして、一度言い出したら絶対に曲げない頑固者です。」
『…あの…』
「あ、あとは喧嘩に強かったです。
特に空手は黒帯で、得意技は回し蹴りでしたね。」
『あの、安室さん……もういいです。』
……なんだか普段の私って、
人に迷惑をかけまくってたすごい嫌な奴じゃない…?
しかも空手が黒帯だったなんて、ただの凶暴女じゃないか…。
安室さんから聞いた私の人物像は
良いところなんて一つもないんじゃないかって思わされるくらいだった。
「まだ大事なことを話していませんよ。
確かにあなたは、いつも危険を顧みずに無茶ばかりしていました。
でも、僕が知ってる美緒さんは…
優しくて、真っ直ぐで、何事にも立ち向かっていく強さを持った女性です。そんなあなたを、僕は心から尊敬していました。」
私の目を見てそう話す安室さんは真剣そのもので…
その言葉は本心なんだと伝わってきた。
そして彼の透き通ったブルーの瞳に見つめられると
なぜか胸がドキッと高鳴った。