第40章 心傷
伊「これからは俺と高木が交代で美緒をガードすることになってる。恐らく犯人の顔を見てるだろうからな。
松田は佐藤の病室で警護だけど…
お前は?どうするんだ?」
松「聞くまでもねぇだろ。美緒の側にいてやれよ。
恋人なんだからな。」
「その事なんだが…美緒には僕が恋人だってことは話してないんだ。友人だって伝えた。」
松「はぁ!?なんでだよ!」
「知らない奴にいきなり恋人だって言われても混乱するだけだろ?だからお前達も黙っていてくれ。頼む…。」
僕が頭を下げて頼むと
2人は渋々だか、了承してくれた。
そのまま2人は目暮警部達のところに一旦顔を出すそうで
会議室の方へ歩いて行った。
僕は美緒の元に向かおうと思ったが
椅子に座ったまま立ち上がれないでいた。
美緒の側にいてやりたいのに……
美緒が僕を忘れてしまったという現実が受け入れられなくて
彼女の側にいる勇気が出ない…。
頭を抱えて項垂れていると、誰かが僕の元に歩み寄って来て
顔をあげると、そこには僕の幼馴染の姿があった。
「ヒロ……。」
「…聞いたよ、美緒ちゃんのこと。」
ヒロは僕の隣に腰掛け、僕の肩に手を回した。
「大丈夫だ。
俺達の知ってる美緒ちゃんは強い。
絶対記憶を取り戻してくれる…だから信じよう。」
ヒロの言葉が僕の心の中にストンと入ってきて
僕の目から涙が溢れた。
僕が目元を押さえている間
ヒロは何も言わずに側にいてくれた。