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《降谷夢》bonheur {R15}

第40章 心傷



松田は僕の顔を見るなり、すごい勢いで詰め寄って来て僕の胸ぐらを掴んだ。


松「…てめぇが付いていながら…何やってんだよ!!」

伊「やめろ松田!ここは病院だぞ!?
場を弁えろ!!!」


班長の言葉で少し落ち着いた松田は
僕から手を離し、ため息を吐いていた。

伊「松田……ちょっとはこいつの気持ちも考えてやれ。
美緒が記憶無くしちまって辛いのは
お前だけじゃねぇんだ。」

松「……悪かった…。ただの八つ当たりだ。」

「いや…大丈夫だ。」




…本当は全然大丈夫じゃなかった。

美緒を襲った犯人への怒りと
彼女が僕のことを忘れてしまった悲しみで
どうにかなりそうで

この気持ちを一体どこにぶつければいいのか
僕には分からなかった……。





少しの沈黙が流れた後、
なぜ美緒が記憶を失ってしまったのかを班長が僕に尋ねてきた。



伊「目の前で佐藤が撃たれてショックなのは分かるが
美緒がそれだけで記憶を失うとは思えないんだが…。」

「…現場には懐中電灯が落ちてただろ?
その指紋は調べたか?」

松「ああ、美緒の指紋しか付いてなかったよ。
…ってことはまさか…!!」

「美緒は自分が懐中電灯を照らしたせいで佐藤刑事が撃たれたと思ったんだろうな…。
でもきっと…それだけが理由じゃない。」


伊「…あいつの…亡くなった上司か……。」


松「美緒を庇って刺されたって言ってたからな…。
佐藤をみて、その光景を思い出しちまったんだろ…。」


松田達の言う通りだ。

美緒が記憶喪失になるほど自分を責めてしまったと考えると、僕達はやるせない気持ちになった。


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