第40章 心傷
「少しだけでも、顔が見れて良かった。」
『うん。私も…会えてよかった。』
「気をつけて帰って下さいね。」
零くんは私の頭を少し撫でて、
私達はそのまま会場の入り口で別れた。
そしてエレベーターに向かって歩いている途中で
トイレに行きたくなってしまったので、私は帰る前に女子トイレに向かった。
ーーー…
用を足してからトイレの個室を出ると、
美和子ちゃんが化粧直しをしているところに遭遇した。
「美緒先輩!来てたんですか!?」
『うん。もう帰る所だけど。』
「警察官ばかりで変なパーティーでしたからね…。」
まぁ…それは否定しない。
目つきの悪い刑事さんいっぱいいたし、
結婚を祝う会なのに、少し重苦しい雰囲気だったから…。
『そんなことより…美和子ちゃんも気をつけてね?
最近刑事さんが撃たれるって物騒な事件続いてるんだから。』
「大丈夫ですよ!私、タフなんで。」
…それも、否定はしない。
美和子ちゃんの笑顔を見て安心していると
急にトイレの照明が落ちて、周りは真っ暗になってしまった。
『え、何…?停電?』
「変ですね…。私、様子見て来ます。」
美和子ちゃんが手探りしながらトイレの出口に向かっている時、
化粧台の下が明るくなっていて、わたしはそこに懐中電灯がある事に気がついた。
『美和子ちゃん、なぜかここに懐中電灯あったよ。』
美和子ちゃんに負けてライトを照らすと
彼女は何かに気づいたようでこちらに向かって走って来た。
「先輩っ!!!だめです!!」
『え?』
わたしが聞き返した直後、
美和子ちゃんは私を庇って何者かに背中から撃たれた。