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《降谷夢》bonheur {R15}

第37章 待伏


「立花、早く降りろ。家に着いたぞ。」

また酔いが少し回ったのか
立花は先ほどよりも意識が朦朧としているようで
タクシーからよろよろと降りてきた。

「ほら、しっかり立って歩け。」


僕は彼女の両肩を掴んで支えている状態のまま
マンションの入り口に向かって歩いていたが
ふらふら歩いていた立花が突然立ち止まった。


立「降谷さんって…本当に優しいんですね。」

「何を言ってるんだ。早く歩いてくれ。」

立「すごく優しいから……私はあなたが好きなんです。」

「……っ、…!?」


彼女の言葉に驚いていると




立花は僕の服の襟元を掴み、そのまま口付けた。




「…いい加減にしろ。酔った勢いでこんなことするな。」


僕は彼女の肩を掴んでいた手に力を入れてすぐに引き離したが
美緒以外の女とキスをしてしまったという事実ができてしまい、不快に思った。


再びマンションに向かって歩き
エントランスにたどり着いて、立花は自宅の鍵を取り出し扉を開けた。
エレベーターで5階まで上がり、彼女の部屋の前にたどり着いたので僕はそこで帰ることにしたが…



立花は僕の腕を掴み、
帰ろうとした所を引き止められてしまった。


立「あの!
私…本気であなたのことが好きです!
恋人がいるのは分かってますが諦められないんです!」

彼女の気持ちには気づいていたが、まさか告白されるとは思わなかった。
断られるのを分かってて伝えてくるなんて
やはり酔った勢いもあるのだろうか…。


「僕が好きなのは美緒だけだ。
だから君の気持ちには応えられない。」

立「若山さんは…
元SPでかなり優秀だと思いますけど…
ただの一般企業勤めの協力者じゃないですか!
私の方があなたのそばにいる機会も多いですし
あなたを支える自信があります!!」

「僕は美緒の肩書きなんてどうでもいい。
あいつが例えフリーターでも無職でも…
彼女自身が好きだから一緒にいたいんだ。」

「…。」

「お前はただの部下で、それ以上でもそれ以下でもない。
そしてそれは、これから先も変わらない。
僕が君を好きになることはないからな。」


本当は優しく断るべきなんだろうけど、
そうしたところで立花が諦めてくれるとは思えなかったので少し強い口調で言わせてもらった。

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