第37章 待伏
立「今日はもう、お仕事終わったんですよね?」
「ああ、そうだが…。」
だから早く帰って美緒に会いに行きたいんだと
心の中で呟いていると、
立花がもう少し付き合って欲しいと言い出した。
立「私も今日の仕事は終わりなんです。
せっかくなのでもう少し一緒に飲みましょう?」
「…悪いがまた今度にしてくれないか。」
立「私の歓迎会だと思って付き合って下さいよ。」
確かに忙しすぎて、彼女の歓迎会はずっと出来ずにいたからそう言われると僕は強く断れなかった。
「分かったよ…少しだけだからな。」
立「っ、ありがとうございます!!
すみません。ソルティドッグを下さい。」
「…僕は同じものを。」
その後立花は、気分よくたくさんの酒を飲みまくっていて
かなり酔っ払っているようだった。
酔い潰れると面倒だし、時間もそこそこ経っていたので
そろそろ帰るぞ、と彼女に声をかけて2人でホテルを出た。
「1人で帰れるよな?」
立「はいっ!大丈夫です!
今日はありがとうございました!」
「いや…気をつけて帰れよ。」
そう言って立花を見送ったが
彼女は危なっかしい足取りでふらふらと歩いており
とても大丈夫なようには見えなかった。
……。
本当にめんどくさいが
僕は立花の後を追いかけて彼女の肩を掴んだ。
立「降谷さん?どうしたんですか?」
「やっぱり送る。危なっかしくて見ていられない。」
もし事故にでもあったらかなり後味悪いからな…。
僕はすぐタクシーを捕まえて、
立花を後部座席に押し込み、僕もその隣に乗り込んだ。
立「すみません…少し飲みすぎたようです…。」
「分かってるなら今度からは気をつけてくれ。」
立花は小さい声で僕に返事をした後、
タクシーの運転手に行き先を告げていた。
彼女の家は大通り沿いにあるマンションだそうで
数十分走ると到着した。