第37章 待伏
立花とスーツ店に行った後は
お互い別の仕事が入っていたので店の前で別れた。
僕はこれから閉店時間までポアロのバイトで
一旦車を取りに行き、店に向かった。
その後、いつも通りポアロのウェイターとして働き
閉店作業を終えて車に向かう途中、美緒に電話したが繋がらなかった。
……きっとまだ仕事中なんだろう。
立花と一緒に居た理由を説明したかったが…
この日、美緒から連絡が来たのは夜の9時過ぎで
仕事で疲れてしまったから今日はもう休むというメールが来ていた。
美緒のボディーガードの仕事は
常に気を張っているだろうから神経をかなり使うし
今日も本当に疲れているんだろうと思い、労いの言葉をメールで送っておいた。
僕はまだ公安の仕事が終わりそうに無かったので
一旦休むことにして仮眠室へ向かった。
明日こそは美緒と電話できるといいなと思いながら
僕は簡易ベットに横になると疲労が結構溜まっていたのかすぐ眠りについた。
ーーーーーー…
そして翌日。
ようやく溜まっていた仕事をほとんど片付けることができ、
今日は美緒の家に行こうと思って席から立ち上がったところで、風見が僕の元に近寄り声をかけてきた。
風「すみません降谷さん…。お願いがあるのですが…。」
「…断る。」
風「…っ、お願いします!
とりあえず聞いてもらえませんか…?」
「………はぁ…。」
ため息をつき、風見の話を仕方なく聞いたところ
この後風見は、立花と一緒にとあるホテルのバーに行き
公安の協力者から情報を受け取る約束をしていたそうだ。
しかし、風見が担当している別件の捜査に動きがあり
そちらにすぐ向かわなければならなくなったとのこと。
「…つまり、お前の代わりに立花とホテルのバーに行って情報を受け取ってきて欲しい、そういうことだな?」
風「…はい。他の捜査員は全員出払ってまして…
お願い出来ませんか…?」
「はぁ………仕方ないな……。」
僕が風見の代わりに捜査に参加するわけには行かないし
正直かなり行きたく無かったが、とっとと終わらせて帰ろうと思い、立花と待ち合わせをしているというホテルまで風見に車で送ってもらった。