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《降谷夢》bonheur {R15}

第37章 待伏


side 降谷


美緒が僕の部下達に稽古をつけてくれた日からの1週間…


潜入している組織の仕事にポアロのバイト、
毛利探偵に同行して事件に巻き込まれたり
公安の部下達からの捜査報告書の確認など
忙しすぎてスマホを触る時間すら取れないくらい忙しかった。


早く時間をとって美緒と少しでも話がしたいのに
こういう時に限って立て続けに忙しくなるんだよな…。



そして今日は仕事の合間に
以前から立花に頼まれていたオーダーメイドのスーツ店に付き添う予定だ。

なんでも任務中にスーツがダメになってしまったらしく、
僕のおすすめの店を紹介したら、連れて行って欲しいと言われた。

部下のサポートをするのも上司の勤めだから仕方ないが…
彼女には好意を抱かれているため、少し面倒だと思った。





立花と私服姿で街中を歩きスーツ店へ向かう途中、
本当に偶然だと思うが、美緒とすれ違った。
恐らく仕事に向かう途中なんだろう。


目が合った時、美緒は一瞬驚いた顔をしたが
すぐに視線を前に戻して、僕達に声をかけずに立ち去って行った。

仕事中だと思ったのか、表情を崩さない彼女を流石だと思っていると、隣を歩いている立花に声をかけられた。


立「降谷さんの彼女、さすがですね。
私と一緒にいる所を見ても表情を変えないなんて。」

「…そうだな。」

本音を言えば、他の女性といる僕を見て
少しは妬いてくれるんじゃないかと期待したが…


心の中で残念がっていると、立花は僕の左腕に自分の右腕を絡めてきた。


「おい…何してるんだ。」

立「こうすれば恋人同士に見えるかなって思いまして。」

「…笑えない冗談だな。離してくれ。」

僕が静かにそう言うと立花はすぐに離れたが、
もし美緒に見られているかもしれないと思うと気が気じゃなかった。

振り返って確認したかったが
目的地である店に着いてしまい、それは叶わなかった。




まさか美緒が本当に僕達を見ていたなんて…
僕は全く気付かなかった。



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