第37章 待伏
私は自己嫌悪に陥り、
ふと壁にかかった時計を見ると、家を出るまでの時間があまりないことに気づいた。
『!!やばっ!もうこんな時間!!
早くシャワー浴びて仕事行かないと!!』
わたしは急いで着替えを持ってバスルームに向かい
シャワーを浴びてから身支度を済ませ、家を出た。
昨日は泣きすぎたせいで、瞼が酷いことになっていたが
冷やしている時間はなかった…。
仕方なく化粧で少し誤魔化したが、やはり隠しきれなかったので
梢さんにどうしたのかと聞かれてしまった。
本当のことは恥ずかしくて言えないので
めちゃくちゃ感動する映画を見て
泣きまくってしまったということにしておいた。
梢さんは渋々納得してくれて、
わたしはいつものように仕事をこなした。
昨日たくさん泣いたおかげで少しスッキリしたが…
思い出すとやっぱり辛くてまた泣きそうになるけど
今日の仕事は割と忙しかったので、
余計な事を考えずに私は仕事に没頭することができた。
午前は社長の知り合いの人の警護、
午後からはまた別のクライアントの警護で
ちゃんとお昼を取る時間さえとれないくらいだった。
SPの時も同じようなことが何度かあったから慣れてるけど、さすがに朝から何も食べていないので仕事が終わる頃には空腹で気持ち悪くなってきた。
梢「美緒ちゃん、今日ちゃんとお昼食べてないでしょ?
わたしの非常食あげるから食べて。」
梢さんはそう言って市販のクリームパンを渡してきた。
警護の仕事は終わったが、社長から書類整理を頼まれてしまいもう少し仕事をしなければならないので、ありがたく頂くことにした。