第36章 最悪
松「じゃあ俺らも帰るか。送ってく。」
『ありがとう。車は明日取りに行くね。』
タクシーを拾うため、私と松田くんは大通りの方へ歩き出した。
2人のお陰でとても楽しい時間を過ごせたので
松田くんの言う通りいい気晴らしになった。
私の中のイライラやモヤモヤが少し落ち着いたように思えたので
家に帰ってから零くんに電話して
昨日電話出来なかったことをちゃんと謝ろうと決めた。
それと…立花さんと仕事中とはいえ腕を組んで歩いたのは嫌だった、2人の距離が近くて嫌だったと、わたしの素直な気持ちを伝えよう。
何も言わずに1人でウジウジしてるなんて私らしくないからね。
零くんはきっとどんな私でも受け止めてくれるはずだ…
前に諸伏くんがそう言っていたのを思い出して、かなり心に余裕が出てきた。
松「ちょっとは元気出てきたみたいだな。」
『うん!2人のお陰だよ!今日は誘ってくれてありがとう。』
松田くんに改めてお礼を言って喋りながら歩いていると
いつの間にか大通りに出ていた。
空いているタクシーが来ないか探していると
反対車線の方に一台のタクシーが止まり
何とそこからスーツ姿の零くんが降りて来た。
松「…おい、あれゼロじゃねぇか?」
『本当だね。仕事中なのかな?』
私たちが零くんを見ていると、
タクシーの中からもう1人………
公安の女性捜査官である立花さんが車から降りて来た。