第35章 強盗
『Hi、コナン君。久しぶり。』
「美緒さん!本当に久しぶりだね!」
私はつけていたサングラスを外し、車を路駐すると
コナンくんもこちらに近づいてきてくれた。
「どこかに出かける所だったの?」
『ううん。適当にドライブしてただけだよ。
コナン君は?』
「僕は友達と待ち合わせ。」
『じゃあ、よかったら乗ってく?待ち合わせ場所まで送るよ。」
「ほんと!?ありがとう!!」
コナン君を助手席に乗せて車を走らせながら他愛無い話をした。
蘭ちゃんが私に会いたがっているとか、
毛利探偵も私が元気かどうか気にしてくれているらしい。
そういえば、毛利探偵には私が骨折して入院している時にお見舞いに来てもらったから
今度そのお礼に伺います、とコナンくんに伝言を頼んでおいた。
そして、
コナンくん達の待ち合わせ場所の少し手前にある信号に止まっていると、
すぐ近くの銀行から覆面を被った男が2人、
大きな鞄を抱えて出てきた。
その男達が近くに止めてあった車に乗り込むと
中から銀行員の人が出てきて叫んでいた。
「銀行強盗です!!誰か!警察呼んでください!!」
……ナンバーは覚えたけど、
今からすぐ警察を呼んで検問が張られても
時間的に逃げられる可能性の方が高い。
…仕方ない。コナン君には悪いけど、少し付き合ってもらおう。
『コナンくん、悪いけど君を降ろしてる時間はないみたい。
…しっかり捕まっててね。』
「うん、分かってる。美緒さんに付き合うよ。」
私の考えてる事なんかコナン君にはお見通しだったようだ。
わたしは車のアクセルを強く踏んで、銀行強盗の車を追いかけた。