第34章 特訓
開始から15分後……
『わたしの後方10m、黒の帽子をかぶった男性。
かなり視線が強いので分かりやす過ぎます。』
風「…了解です。」
『今通り過ぎた歩道橋にいた男性。
目が合った時の逸らし方が不自然です。』
風「…流石です。」
こんな調子で、すでに6人目。
なんだかSPをやっていた頃の訓練をしているみたいだ…。
正直かなり神経を使うが、気を抜くのは失礼だと思うし
割と本気でやっている私。
『今通り過ぎた喫茶店から出てきたポロシャツの男性。
出てくるタイミング早すぎです。』
風「…あなたは背中に目がついてるんですか?」
そんなわけないでしょ!!
嫌って言うほど訓練されてきたから
意識すれば敏感に反応するようになっちゃってるだけだよ!
全く気にしてない時は気付かない時もあるし!
もうすぐ目的地である体育館に到着するが、
ここまで見つけた公安刑事は7人。
やっとゴールか…と思っていると、
再び後ろから感じた強い視線。
パッと振り返るけど、そこには誰もいない。
あの視線の感じは……きっと女性だ。
何度か感じた事のある妬みを含んだ嫌な視線。
『…風見さん。女性の捜査官も参加してたんですね。
その人の特徴は分かりませんが、視線を感じました。』
風「お見事です。
わたしは体育館の入り口に待機してますので
来ていただけますか?」
風見さんに返事をしてから通話を切りイヤホンを外した。
そのまま歩いて体育館の前まで行くと、
私服姿の風見さんが立っていた。