第33章 我儘
「美緒、明日のことだけど……
風見達が我儘言ったみたいでごめんな。」
『ううん。大丈夫!
引き受けたからにはちゃんとやるよ!』
それに…アグバロスの事件の時に
公安刑事さん達にはたくさん大変な思いさせちゃったし、
その恩返しのつもりでもあるからね。
「僕はポアロで仕事が入ってるから明日は行けそうにないんだ。本当は少しでも顔を出したいが…」
…それは残念。
でも仕事なら仕方ないよね。
『明日来れないから今日来てくれたんでしょ?
ありがとね、零くん。』
私がそう言うと、零くんは優しいキスをしてくれた。
急な事で目を閉じるのも忘れるくらいだったけど
とても甘いキスだった。
「美緒は何でもお見通しだな。
本当に……ますます好きになっていくよ。」
そのストレートな告白にかなりときめいた…
嬉しいけど恥ずかしくて、なんだかくすぐったいような気持ちだ。
『私も…零くんが好きだよ?』
「知ってる。顔に書いてある。」
……それは恥ずかしい。
1人で照れていると、零くんは再びわたしにキスをして
そのままソファーに押し倒し私を見下ろした。
「美緒…明日は僕がいないからって浮気するなよ?」
『するわけないじゃん!
零くんしか見てないのに!!』
「…ばか、襲うぞ。」
なんでそうなるの!?思った事言っただけなのに!!
『えっと……明日は体術の特訓もするから…その…』
「分かってる。今日は何もしないよ。」
…零くんこそ、私の考えてる事お見通しじゃないか。
そう思っていると、彼は私を抱き起こし何かを思い出したように口を開いた。