第33章 我儘
風見さんとの電話を切った後、再び仕事に戻ったが
今日は警護の仕事がなかったので
定時で上がらせてもらった。
帰り道、零くんからメールが届き
今日の夜わたしの家に来てくれるとのことだった。
久しぶりに早く帰れそうだとメールに書いてあったので
わたしはスーパーに寄り、晩ごはんの買い出しをすることにした。
家でご飯を作り終わる頃にちょうど零くんが帰ってきて
わたしは玄関の方に向かった。
『おかえり零くん!』
「ただいま。」
いつも通り私が零くんに抱き付くと
彼は優しく受け止めて抱きしめ返してくれる。
そんな些細な事で、私はいつも癒されているんだ。
「いい匂いがするな。」
『今日は早く帰れたから、色々作ってみた。
早く食べよ!』
零くんをテーブルに座らせてから
様々なおかずを彼の前に置いた。
今日のメニューは鯖の味噌煮、お吸い物、だし巻き卵、
炊き込みご飯、セロリの浅漬けである。
普段の私のご飯は適当だけど
零くんが来る時だけいつも張り切って色々作ってしまうんだ。
彼はお腹が空いていたみたいで
すごい勢いでパクパクと食べてくれている。
「全部美味いな。料理の腕上がったんじゃないのか?」
『ほんと!?やったー!零くんに褒められると自信ついちゃう!」
空いてる時間に料理動画とかレシピ見てたから
その甲斐があったのかも。
「毎日でも食べたいくらいだよ。仕事で疲れてるのにありがとな。」
零くんは私の作ったご飯を全て平らげてくれて
片付けはご飯のお礼に零くんがやってくれると言ってくれたので
私は先にお風呂に入ることにした。
零くんもわたしの後でお風呂に入り、
今は2人でのんびりテレビを見ながらソファーで寛いでいる。
いつの間にか零くんの着替えも少しずつ増えて行って
私はそれが何だか嬉しかった。